SCP-444-JP-J(ふっかつのじゅもん編)
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E-3664の手によって描写されたSCP-444-JP-J。対象より「5歳が描いた割には上手い」と評される。

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エージェント・██によって描写されたSCP-444-JP-J。直後エージェント・██は対象より「似てない」と叱責され蹴られる。

アイテム番号: SCP-444-JP-J
 
オブジェクトクラス: Keter Safe
 
特別収容プロトコル: 現在SCP-444-JP-Jはサイト-8141の地下130mの特別収容室内にのみ出現し、拡散、拡大、もしくは他の領域への離脱の試みやその意思は観察されていません。
しかしSCP-444-JP-Jの物理的収容の困難さから、収容の要点はSCP-444-JP-Jとのコミュニケーションに基づく活発性の抑制と性質、行動原理の研究と掌握に努めてください。現在はこの方針に従い、週に3度、非武装の保安要員の立ち合いのもとで研究員による1度につき3時間以内の対話の時間が設けられています。
SCP-444-JP-Jとのコミュニケーションは保安要員の証言とも照合して記録されます。
 
SCP-444-JP-Jは長期間の観察と調査によって限定的な影響しか有しておらず、また危険性も皆無である事が判明しています。そのため、定期対話以外でも研究チームへの申請を行う事で、SCP-444-JP-J特別収容室内でのSCP-444-JP-Jとのコミュニケーションが可能です。申請は、セキュリティクリアランスレベル2以上の職員3名の許可がある場合、サイト-8141勤務のDクラスまたはEクラス職員でも可能となります。
 
説明: SCP-444-JP-Jは特別収容室内で発生する、生物的な知覚全てで共有される幻覚像です。特別収容室内に入室した、知覚を有する生物(以下「被験者」と呼称)全ては収容室内に存在する体毛の赤い雛鳥を認識します。その姿形は認識する側の個体によって若干の差が見られますが、体長20cm以内の赤い雛鳥という点で共通しています。
SCP-444-JP-Jに関連する幻覚は、知覚を有した被験者全員の間で一貫した動作として共有されており、SCP-444-JP-Jの姿以外の点の証言1については一切の差異が認められていません。
 
SCP-444-JP-Jは知性を有しており、発話を含んだ積極的なコミュニケーションの試みを行います。少なくとも成人以上の感受性と表現力を有しており、性格的には男性的な口調も相まってやや尊大かつ粗暴な印象を持たせると証言されています。
しかしながら、危害的な影響を及ぼそうとする意思はこれまで観察されておらず、機嫌が損なわれた場合であっても、20分〜3時間程の消失の後に再出現し再度のコミュニケーションを試みます。
コミュニケーションは、SCP-444-JP-Jが疲労を訴えて自ら消失するか、特別収容室から被験者が完全に退出するまで継続されます。その後SCP-444-JP-Jは一時的に消失しますが、6時間後には再度現出するようになります。
 
SCP-444-JP-Jが現れている間は、被験者はSCP-444-JP-J本体像だけでなく、SCP-444-JP-Jが関係した、本来とは無関係の事象についても幻覚として知覚します。通常の認識がSCP-444-JP-Jと関係する事で、自然的な反応に基づいた幻覚へと移行する現象は「関連事象幻覚」と呼ばれており、それら「関連事象幻覚」は緻密さやアトランダム性を有しながらも高い共有性を持つに至っており、個人の知覚能力や認識能力、処理能力と知性の限界を超えて発現します。
被験者はこれらの「関連事象幻覚」を自らの意思である程度コントロールする事が可能ですが、それらの挙動に関しては多くの部分が無意識的に動作します。しかし無意識的な領域であるにも関わらず、複数の被験者間でそれら動作の認識が共有されることから、個々への影響以外の異なる認識への影響要素があると見られています。
 

会話記録444-49

対象: SCP-444-JP-J

インタビュアー: █博士

付記: SCP-444-JP-Jは被験者に対する幻覚としてのみ存在するため、対話者と保安要員の証言によってのみ構成される記録である。

<記録開始>

█博士が保安要員3名と共に特別収容室に入室。SCP-444-JP-Jは机の中心に座り込んで、一心不乱に毛繕いをしていた。

█博士: やあ、SCP-444-JP-J

SCP-444-JP-Jが█博士に気付いた素振りを見せる。毛繕いを中断し、█博士の方を向く。

SCP-444-JP-J: なんだよ体かゆいんだよ今。風呂入るのに裸になったヤツを呼び止めたような状況だぞ今。変態かよお前。

█博士: すまないね。君でもかゆみを感じるのかい?

SCP-444-JP-J: あたりめーだろお前緋色の鳥をなんだと思ってんだ。お前俺に「今生きてる?」って聞かれて嬉しいのかよ。

█博士: そうだな。少なくともいい気分にはならないな。

SCP-444-JP-J: そうだろ。

█博士: すまないね。お詫びに水浴びを提供しよう。

█博士は「関連事象幻覚」を利用し、SCP-444-JP-Jの隣に水の入った銀の器をイメージする。SCP-444-JP-Jの隣にはその通りに水入り銀器が現れる。

SCP-444-JP-J: なんだお前、高尚かつ傲岸な緋色の鳥を物で釣ろうとか考えてやがんのかよ。その浅薄な軽挙には不快感すら覚える。その不快な妄執の払拭のために、水でも浴びるかな。

SCP-444-JP-Jが銀器に入ろうとするが、底が深く縁が高いため転倒し失敗。█博士に無言で視線を送る。█博士は再度「関連事象幻覚」を利用して銀器の縁を外側に広げて階段状に変形させる。その後SCP-444-JP-Jは銀器に入り、1分38秒間水浴びを行う。

SCP-444-JP-J: で、何の用なんだ?

█博士: ああ、実はSCP-444-JP-J現象に関してね、君の意思を超えた広範囲の事象の一部が表出しているだけなんじゃないか、ていう意見があるんだ。そのために、君自身が把握している範囲内で、君自身の特性を自ら説明してもらいたいんだよ。

SCP-444-JP-J: なんだそれ。今起きてる事を説明しろってことか?

█博士: まあ、そういう事だね。

SCP-444-JP-J: ふーん

SCP-444-JP-Jは3分間水浴びを継続した。

█博士: SCP-444-JP-J?

SCP-444-JP-J: おっと、そうだな。じゃあまず、俺は今ここで水浴びしてる訳だ。これものすげー気持ち良いんだけど、現実にはこの水も器も俺も存在していないわけだ。誰がどう見ても存在しているように感じるだけで、そいつは生き物の認識力が作ってるただの像だな。

█博士: 君との対話は、あくまで個人が君という像を介して自らと対話しているだけだと?

SCP-444-JP-J: そんなのお前らがSCiPに認定するわけねーだろ。人間の中に俺が入ってるんじゃなくて、俺に人間が接触してるの。つうか現実に存在してようがしてまいが、認識なんて本質はそんなもんなんだよ。

█博士: その点については我々の間でも議論が割れている。

SCP-444-JP-J: そんなん知るかよ。お前俺は緋色の鳥だぞ。俺がそうだっつったらそうなの。

SCP-444-JP-Jが小さく羽ばたいて憤慨した様子を見せつつ、水飛沫をはね飛ばす。

█博士: すまないね。話を戻そうか。

SCP-444-JP-J: 礼儀も立場も無い無知なる無垢者に言う事なんてもう無いからなコラ。

█博士: そう言わずに。

█博士が「関連事象幻覚」を利用し、銀器の縁に豚挽肉10gを出現させる。SCP-444-JP-Jは█博士の方を気にするような素振りを見せつつも、それを31秒かけて食した。

SCP-444-JP-J: まあお前はこうやって色々な幻覚も作り出せるわけだ。俺という幻覚の存在自体をお前が認識しているからな。明晰夢みたいなもんだ。だがまあ、例えば今俺がこうやって水浴びするだろ、すると水が飛び散って、机やお前の服が濡れるよな? お前はその情報や感覚も得る。俺とは直接関係無い幻覚だが、ある。俺の手触りや音や匂いを実際に感じるのと同じように、そういった元々関係ねー幻覚の手触りや音や匂いも感じるわけだ。

█博士: そうだね。もう少し温めの水にしておけば良かったよ。

SCP-444-JP-J: けどな、それは存在しないものだからな。俺が消えちまうとそれらも消えて、全部元通りになる。机もお前も濡れちゃあいないからな。そしてそれらの幻覚は、俺を感じ取っているヤツ全員の認識で共有されるんだ。まあ感覚と現実があまりにも大きく矛盾する場合は現実が勝つけどな。

█博士: 一つの像の存在を基底とした限りなく実存に近い集団幻覚、と呼ぶ研究員もいる。

SCP-444-JP-J: お、いいな。今度からそれ使うぞ。

█博士: 複数の知性が相反する「関連事象幻覚」を作り出したらどうなるんだい?

SCP-444-JP-J: 存在は一つだけとは限定されないし、相殺なんて考え方もそれこそ幻想だろ。両方が同時にあっても問題無いんだよ。なんてったって緋色の鳥だからな。

█博士: ありがとう、参考になった。

SCP-444-JP-J: そう思うならタオル出しやがれコラ。

█博士が「関連事象幻覚」を利用しタオルを机の上に出現させる。SCP-444-JP-Jは銀器から脱出すると、タオルの上に移動し転げ回り始める。

█博士: 君自身は幻覚を操作出来ないのかい?

SCP-444-JP-J: 何言ってんだお前そんなの出来るに決まってんだろナメんな。

█博士: では何故、わざわざ他者のイメージを利用するんだい?

SCP-444-JP-J: そんなんお前らがちっぽけだからに決まってんだろ見くびんな。

█博士: どういう事かな?

SCP-444-JP-J: まあ、ほら、アレだ。ここはお前らの認識界であり傍線の深奥だからな。これ以上言う気は無いぞ。ホントだからな。

█博士: 君が何かに危害を加える気が無いなら、それでいい。

SCP-444-JP-J: まあ、ここならお前らもいるからな。

<記録終了>

終了報告書: SCP-444-JP-Jは自らの性質をほぼ全て把握している。つまり本オブジェクトの性質は現在表出しているものが全てであり、その証言と実際の現象に食い違いが存在しない以上、現状の脅威度からの発展も薄い。管理官からもGOサインが出ているし、異常存在との対話訓練や対認識災害訓練の一環としても、コミュニケーション許可申請条件の緩和は妥当な線かもしれないな。

 

コミュニケーション記録444-84

対象: SCP-444-JP-J

申請者: E-3664 5歳 女性 SCP-███-JPに関連する異常現象から保護後、██監察官補員として雇用 後見:██監察官 █博士 エージェント・████

<記録開始>

E-3664が保安要員2名と共に入室。直ちに机の上で蹲っているSCP-444-JP-Jに接近し積極的に接触を開始する。

SCP-444-JP-J: な、何だお前なにしてんだおい、やめろって。よせ。やめろって。

E-3664はSCP-444-JP-Jを抱き上げて背部を撫で始める。SCP-444-JP-Jは両足部を激しく動かし、時折羽をばたつかせている。

SCP-444-JP-J: いきなりなんだよ、おい。おい木偶の坊ども、こいつ何とかしてくれって。

SCP-444-JP-Jの要請に基づき、保安要員の手によってE-3664からSCP-444-JP-Jが取り上げられ、机の上に置かれる。

SCP-444-JP-J: マジで何だよ、別にビビってねーけど、礼儀ってもんがあるだろうが。ビビってないけどな。

E-3664: 鳥さん喋るの、かわいいんだよ。

SCP-444-JP-J: そーゆー事じゃないだろ。何だよ俺に子守りしろってのかよそんな実験までやるのかよここ。

E-3664は無意識的に「関連事象幻覚」を利用し、特別収容室内を花畑に変える。天井も壁も無く、一面に種類が不明の花と青空が広がっていたとの事である。

SCP-444-JP-J: あー! お前やりやがったな! これ片付けんのものすげーめんどくせえんだぞ!

E-3664は再びSCP-444-JP-Jを抱き上げてその場に座り込む。

SCP-444-JP-J: 今日はもう終わりだ終わり! お前らこのガキに俺の事もっとちゃんと教えておけよ!

SCP-444-JP-Jが消失。それと同時に花畑と青空も消失し、元通りの特別収容室の風景へと戻る。

<記録終了>

終了報告書: これまでで最大規模の「関連事象幻覚」が確認された例である。この後E-3664には多少の落胆が見られたものの異常と言える程の変化は見られなかった。特別収容室内での振る舞いから、E-3664の後見者である██監察官に対して、SCP-444-JP-Jに関する正確な情報の伝達を徹底するよう、指導を要する。

 
補遺: 20██年4月1日、SCP-444-JP-Jに関する一連の実験もしくは事象の検証の終了がサイト-8141管理官によって宣言されました。その結果として、SCP-444-JP-Jには一切の危険な反応、もしくは悪用され得るほどの作為的制御が可能な異常現象は存在しないと確定されました。
大規模な「関連事象幻覚」に於いても、生物の運動機能の阻害は不可能な上、生命活動、精神活動への影響も非常に微々たる結果でありイレギュラーの検証と管理も完了しています。
 
また、SCP-444-JP-Jの精神構造については現在も研究が進行中ではあるものの、行動範囲の予測については安全面に問題無しとの結論が出されています。
 
空白
 
この報告書何故かこの第7版以前の版が見つからないからここに書くしか無いんだが、なんでこんなものが以前はKeter認定されていたのか、誰か知らないか? ──██博士

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